平日の昼。 店内に客が1人。 1時間試乗対応した。 契約には、ならなかった。

「ありがとうございました、また検討してください」と頭を下げて、デスクに戻る。

…これ、何回目だろう。


1台5,000円、月10台で追加1万円

うちの会社のインセンティブは、1台5,000円。 月10台売ると、ご褒美で1万円が乗る。

…ご褒美、って。

10台売るために、

  • 何件電話して
  • 何時間試乗対応して
  • 何枚の見積書出して
  • 何回ローン審査出して
  • 何回値引き交渉してると思ってんだ

仮に毎日1台ペースで売れたとして、 22日働いて、5,000×22+1万=12.1万。

これに基本給足して、手取りは20万ちょっと。

これが、頑張ったときの「最大値」。 店長になっても、たぶん大して変わらない。


帰り道のコンビニで、ちょっと固まった

その日、帰りに店の駐車場でコーヒーを飲んでた。

35歳、40歳、45歳。

自分が45歳になっても、たぶん同じように頭下げて、ローン審査出して、見積書めくってる。

絵がリアルすぎて、ちょっと笑えなかった。

「ここから給料が劇的に上がる絵」が、どう逆立ちしても出てこない。 独立する根性もない。 転職して年収倍、ってルートも、自分のスペックでは現実的じゃない。

…はい、これが、よく聞く「労働の限界」、ってやつなんだろうな、と1人で答え合わせしてた。

別にこの仕事が嫌い、って話じゃない。 車を売る仕事、向いてる方だと思う。

ただ、「これだけで人生やっていく」っていう未来図が、どうしても明るく描けなかった。

仕事中、疲れた顔のオカノ/店内のデスク


投資を始めた理由、あらためて思い出した

家に帰って、口座を開いた。

20万の株は、また小さくマイナス。 別に勝ってない。 むしろ最近は負けてる方が多い。

それでも、画面を見てるとき、

「自分の労働の外側にも、お金を置く場所がある」

これだけは、確かに増えてた。

仕事を否定したいわけじゃない。 仕事は仕事で、ちゃんと続ける。

ただ、「労働だけで人生変えるのは、もう自分には無理」、その感覚が、最近、月末になるたびに強くなる。


いま思うこと

10台売って、ボーナス1万円。 この数字を見たとき、何かが少し冷えた。

冷えたのが悪いのか、というと、たぶん悪くない。 冷えたから、自分は別のレバーを握りに行こうとしている。

仕事を辞めるレバーじゃなくて、 仕事を続けながら、もう1本だけ、別のラインを増やすレバー。

それが自分にとっては、たまたま投資だった、ってだけ。

派手じゃないし、勝ち負けは続く。 それでも、「やる前の自分」より、ちょっとだけ呼吸が楽になった気がする。